2月23日(日曜日)
「京に春を告げ、一年の幸せ祈る五大力さん(ごだいりきさん)」。毎年2月23日に伏見・醍醐寺で、「五大力尊仁王会(ごだいりきそんにんのうえ)」が営まれます。不動明王など五大明王の力を授かり、その化身・五大力菩薩によって国の平和や国民の幸福を願う行事です。
私が興味があるのは、五大力尊仁王会の関連行事、「餅上げ力奉納」です。男性は150kg、女性は90kgの鏡餅を抱え、その力を奉納し、無病息災、身体堅固を祈ります。また何秒間抱えておれるかの力比べを競い合い、優勝すれば横綱の称号が与えられます。7年前に初めて見て、これは面白いと、ほぼ毎年見学に行っています。
例年であれば、地下鉄醍醐駅の駐車場に置いて歩いて行くのですが、正午の開始時間にギリギリなので、醍醐寺の近くの民間駐車場を探して置きました。今日は日曜日なので、例年よりも人出の多いこと。参道は人人人。
有り難いお札を求めて長蛇の列です。「餅上げ力奉納」の会場には、沢山の方が集まっています。開始に先立ち、出場者は全員リングに上がり、順番のクジを引きます。醍醐寺のヒーロー「不動力」と、ご当地ゆるキャラ「もちもちいん」もリングに上がり、愛嬌を振りまきます。
1~3番のクジを引いた方はリングに残り、報道陣が彼女達の餅上げ姿を写します。女性の部は12時から始まりました。出場者は38人。7年も見学に行っていれば、台に乗った餅を引き寄せる所作を見ただけで、持ち上げれるかどうかの大体の見当はつきます。
いくらチカラ自慢の方でも、コツを知らなければ優勝は無理と断言できます。腰を落とし、尻を地面すれすれまで落として持ち上げます。尻が地面に着けば、「はいそれまで」で記録無しになります。
行司の方が30秒毎にアナウンスします。「30秒経過」「1分経過」時間が経つたびに、会場からは、どよめき、「頑張れ!」「いいぞ!」「無理するな!」の声が飛び交います。記録係りの坊さんからも、「まだまだいける」「もうちょい」など、激励のアナウンスが聞こえてきます。
持ち上げた方は11人ですが、その内3人は1秒です。歴代の横綱になった方で、1秒の方もいます。素人女性が90キロを持ちげるのは、いかに大変か分かるでしょう。見事横綱の称号を得たのは、東近江市の会社員北岸美香さん(38歳)。従来の記録を1分10秒更新する、11分13秒の新記録でした。
3位の方まで表彰されます。優勝者は鏡餅の上をお持ち帰りです。2、3位の方は、下の部分を切った餅をもらえます。
2位の方は11分2秒。3位の方は4分38秒。2位の方が終わったとき、過去の大会記録10分1秒を1分も更新したので、優勝は間違いないだろうと思っていました。見応えのある優勝争いでした。
男性の部は、過去最多と思われる80人もの参加でした。五大力さんは曜日に関係なく、2月23日に行われます。平日に会社を休んでまで、「餅上げ力奉納」に参加する方は少ないでしょう。順番のくじ引き時間だけでも、長い時間が掛かります。150キロを持ち上げた方は28人ですが、6人は1秒でした。
1秒かとバカにしてはいけません。150キロはそう簡単には持ち上がりません。横に動かすのも大変です。今年も外人の方が1名参加していました。記録は1秒でした。1秒と言えど、150キロを持ち上げただけで立派です。
見事横綱の称号を得たのは、豊中市のインテリアリフォーム業の金岡伸昭さん(45歳)。
記録4分20秒。2位は4分2秒。3位は2分47秒。